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創作トランプ

Army Ants 【ルール】

 ←新書『英検3級でゲーム和訳』【紹介】※エア新書です →Three Kings 【ルール】
 最近ツイッターのTLを見ていて、何人かの方々の間で『バトル・フォー・ヒル218(The Battle for Hill 218)』という2人対戦のカードゲームが話題になっています。BGGの登録ページはこちらですね。カードで行うWWIIの架空戦ゲームで、とても面白そう。僕も欲しいなぁと思っています。

 今回紹介する『Army Ants(アーミーアンツ)』も2人対戦のカード(トランプ)ゲームで、BGGの登録ページを見るとなかなか評価が高い上に、ユーザーコメントには「もしキミが『バトル・フォー…』を気に入っているなら試してみてくれ!」なんて書き込みも見られます。
 このゲームは2008年、Misty Moon GamesによってWeb上にフリー(※非商用利用のみ可)で発表されました。デザイナーは同社の『Dragon Hordes』をデザインしたBryan Winter(ブライアン・ウィンター)氏です。
 これもまた『バトル・フォー…』同様に戦争のゲームですね。ただし、アリとアリの戦いですが。
 ルールを紹介するにあたってはWebに公開されているMisty Moon Gamesサイト内のルールのページを参照しました。説明に使用している図もその公式ルールのもの(一部英文を消し、こちらで日本語を入れました)です。


【ゲームの概要/勝利条件】
 このゲームでは2つのアリの群れが激突します。プレイヤーは赤アリ、黒アリのいずれかを受け持ち、対戦相手の女王アリを先に倒せば勝利です。プレイ時間はおよそ20分ほど。

【プレイ人数】
 2人

【用具と準備】
1.カードの準備
 トランプ1組を用意します。ジョーカーは使用しません。
 このトランプから10、ジャック、キングのカード、計12枚を抜いてください。そして黒いマーク(スペード、クラブ)のクイーンのどちらか1枚、同じく赤いマーク(ハート、ダイヤ)のクイーンもどちらか1枚、合わせて2枚も取り除きます。
 残りのカードは黒いマークのものと赤いマークのものに分け、プレイヤーはそれぞれ、赤か黒のどちらか一方を受け取り、それらのカードを自分の〈アリ軍団〉とします。赤いほうが赤アリ、黒いほうが黒アリです。
 Aは1とし1~9のカードは戦闘を行う兵隊アリ、各々が1枚ずつ持つクイーンのカードが女王アリを表します。

2.カードの初期配置
 各プレイヤーは受け取った〈アリ軍団〉カード19枚(A~9を2枚ずつとクイーン1枚)を裏向きの山にしてよくシャッフルします。そして場(テーブルなど)を挟んで座り、図1のように自分のカードの山の上から1枚ずつ、場に表向きに置いていきます。

《図1》
図01

 赤い字で書かれているのが赤アリ担当プレイヤーの置く位置で、黒い字の側が黒アリ担当プレイヤーの置く位置、真ん中の破線は場の中央を表しています。このように双方の〈アリ軍団〉はタテ4枚×ヨコ5枚の列になって、場の中央で線対称に向き合う形でゲームが始まります。
 1~19の数字はカードを置く順番です。また、一番手前の列中央はカードが置かれず、空きマスとなることに注意してください。

 両者のカード配置が終わったら準備完了、ゲーム開始です。
 以降、プレイはプレイヤーが交互に手番を実行して進めます。
 先攻は赤アリ担当プレイヤーです。

【軍団の結集】
 プレイヤーは双方とも、開始から最初の5手番は本格的な戦闘に入る前の部隊編成【軍団の結集】に費やします。赤、そして黒と交互にカードを動かし、お互いに戦闘で有利になるよう自分の〈アリ軍団〉全体の配置を整えるのです。
 自分の手番になったら、プレイヤーは「行進!」「交代!」のどちらか一方(あるいは特別ルールの「女王の保護」)を選んでカードを動かします。

1.行進!
 カードで作られたタテ4×ヨコ5のマス目の範囲内で、空いた1マスを利用して1枚以上のカードを前後左右にまっすぐ1回(1マス)動かします。
 ナナメに動かすことはできません。
 また4×5のマス全体からはみ出すようにカードを動かすこともできません。あくまで初期配置で作った4×5の範囲内で動かします。

《図2》
図02
 上の図2の例は行進!を5手番行なった、赤アリ担当プレイヤーの手番だけを提示しています。本来は赤→黒→赤…と交互に動かすことになります。

2.交代!
 こちらの場合は、自分のカードのどれか1枚を選び、それを隣接した1枚と位置を入れ替えます。
 位置を入れ替えるカード同士は直接前後左右に並んでいる必要があり、ナナメの位置だと交代!できません。間に他のカードや空きマスがあるもの同士も、交代!の対象にはできません。

3.女王の保護(特別ルール)
 手番プレイヤーの女王アリ(クイーンのカード)が最前列(初期配置で1~5の位置)にいる時、そのプレイヤーは【軍団の結集】に使える残りの自分の手番すべてを消費して、女王アリを即座に空きマスへとジャンプさせることができます。以降、相手のプレイヤーだけが残りの【結集】の手番を連続して行います。
 例えば赤アリ担当プレイヤーが2回目の手番で「女王の保護」を選択したなら、赤アリの結集はそれで終了し、黒アリ担当プレイヤーは2~5回目の手番を連続してプレイすることになります。
(注意:「女王の保護」の選択は任意です。女王アリが最前列にいてもプレイヤーは無視して「行進!」や「交代!」を行えます)

 プレイヤーそれぞれが5手番(あるいは「女王の保護」を)プレイし終えたら、いよいよ戦闘開始です。

【戦闘】
【戦闘】もまた赤アリから動きます。
 先ほどと同様にプレイヤーはカードの動かし方をどれか1つ選んで、手番につき1回、自分の〈アリ軍団〉を動かすことができます。対戦相手のカードは動かせません。選べる動かし方は以下の4つです。

 1.行進! 2.移動! 3.交代! 4.攻撃!

1.行進!
 基本的には【結集】の時の行進!と同一です。
 ただし戦闘が開始されたあとは「4.攻撃」の実行でカードが場から消え、空きマスが1マスより増えていくこと、場の相手側まで動かしていけることが異なります。ルールを列記します。

・1枚だけカードを動かす場合、前後左右にまっすぐ何マスでも空きマス上を動かしてていくことができる。
・2枚以上のカードを行進!させる時は、移動させるカードはタテあるいはヨコに直列で隣接して並んでいなければならず、並びはそのままに前後左右にまっすぐ、1枚の時と同様に空きマス上を何マスでも動かすことができる。
・2枚以上のカードを動かす時は途中で列を分割することはできない。動かすカードはすべて同じ方向に、同じマスの数だけ移動しなくではならない。
・1枚、複数枚どちらの場合もナナメ移動できず、進行方向はまっすぐ、途中で進行方向を変え角を曲がることはできない。他のカードの上で停止したり、飛び越えたりもできない
・女王アリも行進!可能である。

《図3》
図03

 図3は3枚のカードを行進!させた例です。
 一緒にクラブの4は動かせていないことに注意してください。左右を他のカードに挟まれ、進行方向にすでにクラブの8があるこのカードは、たとえそうしたくともタテに並んだ他の3枚と同時には行進!できません。

《図4》
図04

 図4は赤アリ側が4枚のカードを3マス前に行進!させた例です。ここでは3マス移動させていますが、1マスもしくは2マス前進してより手前で停止することも可能です。

2.移動!
 動かせるカードは1枚だけですが、この移動!は唯一、進行方向を変えて角を曲がることができる動かし方です。また、場の相手側へとカードを進めることも可能です。

・カードは空きマス上を、何マスでも前後左右に移動!できる。
・ナナメに移動!することはできないが、進行方向を変えて角を曲がることはできる。
・移動!および停止できるのは空きマスのみ。他のカードの上に乗ったり、飛び越えたりすることはできない。
・女王アリを移動!させることもできる

《図5》
図05

 図5は黒アリ側がスペードの6のカードを移動!させた例です。もちろん、矢印の途中で停止することも可能です。

3.交代!
 これも行進!と同様、【結集】の時の交代!と基本的にルールは一緒です。

・位置を交代!する2枚のカードは前後左右に、空きマスや他のカードを挟まず並んでいなくてはならない。
・交代!するカードは両方とも自分のカードでなくてはならず、ナナメに並んでいるカード同士の交代!はできない
・女王アリも交代!可能である。

《図6》
図06

 図6は図5の続きで、黒アリ側がスペードの6のカードを移動!させた直後の手番で、赤アリ担当プレイヤーはダイヤのAとハートのクイーンの位置を交代!しました。

4.攻撃!
 これを選択したプレイヤーは自分のカード1枚を動かし、相手のカード1枚を攻撃!します
 その結果がどうなるかは攻撃!するカードと、されるカードの数を比べて判定します。

・攻撃!する時は選んだカードを前後左右にまっすぐ、攻撃対象となる相手のカードの上に移動させる。
・攻撃対象にできるのは、攻撃!するカードの数値(Aは1)以下の数値を持つ相手のカードのみである。
・攻撃対象のカードは、攻撃!するカードと隣り合っているか、離れている場合はその間が空きマスになっていなければならない。ナナメに動かすことはできず、攻撃対象以外のカードを飛び越えたりできない。また、動かす方向を途中で変えて角を曲がることもできない。
・攻撃!するカードの数値が攻撃対象のカードの数値より大きい時は、対象となったカードを場から取り除き、その場所で攻撃!したカードは停止する。
・攻撃!したカードと、されたカードの数値が同じ場合には、両者は相打ちとなり、両方のカードが場から取り除かれ、そのマスは空きマスとなる。
(※このルールから、相手の9のカードを場から取り除くには、自分の9のカードで攻撃!して相打ちにするしかない、ということになる)
女王アリは攻撃!できない

《図7》
図07

 図7は図6の続きで、黒アリ側はスペードの6でハートのAを攻撃!しました。6対1の勝負なので、ハートのAは場から取り除かれ、スペードの6がマスに残ります。

《図8》
図08

 図8はさらにその続きです。今度は赤アリ側がハートの9でスペードの6を攻撃!し、スペードの6は場から除かれハートの9が残りました。

【戦闘】ではどの動かし方でも【軍団の結集】と違い、相手側へとカードを動かすことができます。
 しかし、どの動かし方でも、初期配置のタテ8マス×ヨコ5マスから外れる位置へとは動くことができません

【ゲームの終了】
 女王アリは攻撃されると必ず負けて、場から取り除かれてしまいます。攻撃!してきたカードが最弱のA(1)であってもです。
 そのように相手の女王アリを攻撃!し、場から取り除いたプレイヤーが勝利します。
 先に述べたように女王アリを攻撃!に使うことはできませんので、双方のプレイヤーがともに女王アリ以外のカードをすべて失ってしまった場合は、ゲームは引き分けになります。

【オプションルール】
 このゲームのルールには2つほど別バージョンが用意されています。
 基本のルールに慣れたら、あるいはお好みで採用してみてください。

1.配置ルール変更
 初期配置で最前列(1~5)から最後列(16~19)までの4列を置く際に、列ごとの枚数をまとめてカードを引き、それを見てその列の好きな位置に裏向きで配置していきます。最後列は4枚で、必ず基本ルールと同じく中央を空きマスにしてください。
 両プレイヤーの配置がすべて終わったらカードを全部表にして、あとは通常通りのプレイになります。

2.軍団の自由配置
 すべての自分のカード見て、好きなように裏向きに配置できます。
 唯一の例外として「女王アリの前後左右に隣接して9のカードを置くことはできない」という制限があります。また、やはり最後列中央を空きマスとしなくてはなりません。
 両プレイヤーの配置が終わったら表にしてプレイを始めますが、このオプションを採用した場合、【軍団の結集】で「3.女王の保護」を選択することはどちらのプレイヤーもできません。


 ルールをお読みになり、あるいはBGGのページをご覧になればお気づきになると思いますが、この『Army Ants』、トランプを使用する必然性はやや薄いです。
 そのためコメントでは「ラミーキューブのタイルを流用する」案が出され、ギャラリーには実際にタイルを配置した写真もアップされています。1~9の数字が書かれたタイルやチップ2枚ずつとクイーン代わりの何か1枚でセットを作り、これを色違いで2セット用意できれば、トランプを使うよりもテーブル面積を使わずに済みます。
 そしてさらに、公式ルールの末尾にも示唆されている「5マス×8マスのボードを併用する」というのが、ユーザビリティの高いプレイングスタイルかもしれません。

pic462433_md.jpg

 BGGでは他にもアリの絵柄をあしらった専用カードのデータ、さらにアリではなく〈ゾンビ軍団〉同士の戦いにリテーマしたカードデータもアップロードされています。

 本ブログではいちおう「創作トランプ」ゲームに分類したのですが、BGGなどでは『ストラテゴ』などに近い「アブストラクト・ストラテジー」ゲームとして評価されているようです。
 カードゲーム『ハギス』のデザイナー、Sean Ross(ショーン・ロス)氏も「Not really a card game, more of an abstract strategy game」とコメントしています(同時に「Good game」で、トランプでできることはメリットだ、とも評価していますが)。
 まずトランプでお試しプレイして気に入るようなら、あるいはすでに『ラミーキューブ』をお持ちであるなら、タイルを使ったり自作したりと、より便利なスタイルでプレイしてみるといいかもしれませんね。
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