じゃんごの「誰かこのゲームやってくれ!」

webで見つかるゲームのルールをてきとーに訳して紹介するよ~

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Kazekami Kyoko Kills Kublai Khan 【ルール】

ストーリーテリング

『Kazekami Kyoko Kills Kublai Khan(カゼカミ・キョーコ・キルズ・クビライ・カーン)』、略称『5K』は、2人プレイ専用のロールプレイングゲームです。

 作者はジョナサン・ウォルトン(Jonathan Walton)、2006年にブログ記事のかたちで公開されたこのゲームは、同年のインディーRPGアワード(Indie RPG Awards):フリーゲーム部門にノミネートされています。この年のフリー部門賞は汎用TRPG『JAGS Revised』が獲得しており、そちらはルールブックレット270頁のフリーとは思えぬ大作なのですが、この『5K』はなにしろブログ記事、同じノミネート作でも受賞作とは対照的に非常にコンパクトです。以前ご紹介した「ノルウェジャン・スタイル」、「ロールプレイング・ポエム」に内容的にも分量的にも近いと言えます。

 さて、この『5K』のルールを訳して紹介するにあたり、少々ご注意を。
 このゲームは2人の対話で物語を組み立てていくものなのですが、その前提となる背景は、はっきり言って「大人向け」です。絵が表示されるわけではなく、作者ウォルトン氏の記述したルールにどぎつい描写もありませんが、直截にセックスや性的関係を扱います。実際のプレイで求められる対話もまた、しかり。
 それをあらかじめご了承の上、以下のルールを御覧ください。心配するほど過激なことはないと考えますが、念のため。

 ルールはウォルトン氏のブログ「one thousand one: roleplaying and everything after」に公開されたものを訳出します。
 極力、文意を損ねないように努力しましたが、そこは低語学力の僕の書いたもの、不備があればそれはすべて僕、じゃんごが責を負うものです。

 『5K』ルール元記事はこちら→http://thou-and-one.blogspot.jp/2006/01/kazekami-kyoko-kills-kublai-khan.html




カゼカミ・キョーコ・キルズ・クビライ・カーン
風神キョーコは忽必烈汗を殺す
Kazekami Kyoko Kills Kublai Khan


 キョーコは風神、風の精。そしてニンジャでもある。この女は姫にあらず――クビライ・カーンはキョーコに脾腹を貫かれるまでもなく、それを察していた。彼はこの新たな妾を籠絡せんと色目を使い、彼女は大元の日本侵攻を防がんとする。風神はクビライを亡き者にするべく、彼が妻妾とする稀代の美姫たちを如何に誘惑したか、その手管を物語ることにより、彼女の夫君――カーンを責め苛むのだ。

 参加するプレイヤーは二人。一人はキョーコをプレイし、もう一人はクビライをプレイする。

 ゲーム中、各プレイヤーは交互に意見を陳述、もしくは自身の扮するキャラクターに与えられた形式に則り相手に質問する。これを〈投稿 contributions〉と称する。その形式は以下のとおり。


クビライ:「【確認 Confirmation】! しかし、【明言 declaration】! 如何にして【自由回答可能な質問 open-ended question】?」

キョーコ:「まことに、【確認】! ですが、【明言】! 【修辞、あるいは反語的疑問 Rhetorical question】?」



 上記の手順に従い連鎖的に物語を作り出す。各プレイヤーは相手の〈投稿〉に必ず応答しなければならない。確認し、明言し、そして相手にも確認を要求する。その際に、キョーコはカーンの質問に対し、詳細で完全な答えを返さないように。それでいて、対話によって彼女の誘惑譚が一歩一歩、ゆっくりと引き出されていくようにする。また、プレイヤー双方が、如何に誘惑は達成されたかについて先入観を持たないことも極めて重要である。このゲームの主旨としては、あなた個人の腹案よりも、相手の〈投稿〉を聞き、追認することが上位にあるのだ。

 それぞれの誘惑譚はキョーコによる誇示、あるいはクビライによる抗議から開始される。各プレイヤーは言及中の誘惑譚について、明らかになった情報に満足した時はいつでも、発言の番を相手に移して、あるいはそのまま自分で、別の新たな物語を始められる。


キョーコが誇示した例:
「私は名高き后妃、薔薇翡翠と恍惚に身悶える長い刻を過ごし、彼女の唇は私の肌に白檀の香を残しました」

クビライが抗議した例:
「そなたは、我が妾たちの中で最愛たる、白檀と涼しき川のごとき香の漂う薔薇翡翠、彼女の閨房には入れなかった」


 そして、その誘惑譚がキョーコの誇示によって(上記例のように)始まったとすると、以下のように物語は続くかもしれない。


クビライの応答:
「しかり、そなたは楊貴妃このかた絶無の妖婦よ! されど我が妃、薔薇翡翠は幼き小児すら冷笑して止まぬ。そなたは如何にして、あれを懐柔したものか?」

キョーコの応答:
「まことに、あのお方の情は頑ななままでございました! ですが、私がお方様の宦官長から好意を引き出しますと、すべては収まるべきところに落ち着き始めたのでございます! 世界を征服する偉大なあなた様、この戦術を如何に思われますか?」

クビライは続けて返す
「かかることは我が軍才をもってしてもなお、見落としていた! しかし、あの宦官長はそなたのごとき女の手管に流されるものではあるまい! して、そなたはどのようにあの者の好意を得たのか?」

キョーコもさらに続ける
「確かに、あれの男の部分は使い物になりませぬ! ところが、その他の欲――特に珍奇な料理を求めるその食欲は、今なお節度のないものであったのです! どうして彼に、私の饗する小海老のかき揚げをこらえることなどできたでしょう?」


 ――等々。

 キョーコは風の精であり、ニンジャであることに注意。彼女のその恐るべき能力で、できないことはほとんどない。

 とはいえ偉大なるカーンは、彼女のその明白な能力に比して、彼女の語る物語が自分たちにふさわしいほど印象的ではなく素晴らしくもない、と疑義を呈することもある。キョーコもまた、彼女の語る冒険と情愛の獲得は彼にとって他所事であり、死すべきカーンと共有すべきものではない、と判断するかもしれない。その際は、どちらのプレイヤーも次のようなかたちで、相手の〈投稿〉に対応する選択が可能である。


クビライ:「我が妾よ! なるほど、【賛辞 compliment】! 何ゆえ、【キョーコの〈投稿〉に対する疑義 question Kyoko's original contribution】?」

キョーコ:「偉大なるカーン! 【賛辞】! けれども、【詳細を明かすことを拒否refusal to divulge details】!」



クビライの応答例:
「我が妾よ! なるほど、そなたの速さは蟋蟀や燕のそれをも凌駕する! 何ゆえ帝国の軍に怯えることがある?」

キョーコの応答例:
「偉大なるカーン! あなたのすべてを見通す目は、小虫ほども見逃すことはありませぬ。けれども、女心の内々をその眼差しで貫かずにおいてくださいませ!」


 これらを〈投稿〉したとしても、相手はそれに通常通りに答えるか、相手もまた同様に上記の選択で対応するかを選べ、物語の連鎖が断ち切られることはない。

 ゲームの終わりは、クビライがそれ以上は耐えられず、最後の言葉を発した時である。


クビライ:「かくて、女の中の女に妻を寝取られる。私はこの苦界から立ち去ろう」

キョーコが応じる:「その高貴なる魂は昇天し、男の中の男、ここより旅立つ」



 プレイヤーはそれぞれに個別の役割、任務、権限を持っているが、それらが互いにかなり異なっていることに注意を払うこと。キョーコをプレイすることは、クビライをプレイすることと非常に異なっている。このためプレイヤーたちは、プレイで必要となる様々なスキルを磨くために、次のゲームでは役割を入れ替えたり、短い二つのゲームを連続で、役割を交換してプレイしたりといった工夫が推奨される。

 このゲームはオンラインチャットでのプレイに強く適合するよう設計されている。クビライの命は細く長い糸のようなもの、参加者はプレイ時間を長くも短くもできる。彼の死はこのゲームで、まったく予想外ではない。

 カゼカミ・キョーコ・キルズ・クビライ・カーンは、私の以前のIron Game Chefエントリー作品『Heavenly Kingdoms』、『the game of drunken Taiping exegesis』のみならず、Ben Lehman、Emily Care Boss、ブログ「Sin Aesthetics」のMo、そしてShreyas Sampatのゲームやアイデアから強い影響を受けた。このゲームの大部分は、昨晩ベッドに向かう前の三十分で書かれた。

※二〇〇六年一月十八日、午後八時四十一分にジョナサン・ウォルトンが投稿





 さて、この「5K」の舞台設定はいちおう元寇の頃、ということになるのですが、かなり珍妙なものです。あくまでゲームを成立させるための道具立てに過ぎず、史料にある元寇やその時代の人々の生活、文化に沿ったものではないことは言うまでもないでしょう。

 このゲームの眼目は「強大な権力者【男】が、その妻たちを【女】に寝取られる」というセクシャルな物語を、即興で描き出すことにあります。
 カーンは側女としてのキョーコに魅惑されており、ただ者ではないと承知していながら、その言葉に耳を傾けます。キョーコは「できないことはほとんどない」とされるニンジャ、風神であるにもかかわらず、カーンを打倒する手段は彼の妻たちを次々に籠絡して、夫であるカーンが世をはかなみ自死するよう仕向ける、という迂遠なものです。各プレイヤーはそうした物語上の役割を帯びて、形式に則った対話を重ねます。

 それにしても、いったい作者はどこからキョーコのような「女を寝取る、美しく万能な女」というキャラクターを発想したのでしょうか。
 少なくとも一つには、そもそもこのゲームが「IRON GAME CHEF lesbianstripperninja」と題されたコンペティションの参加作品だということがあります。このコンペに出品するゲームは、「レズビアン lesbian」、「ニンジャ ninja」、さらに「夫 husband、ストリップ strip、お茶 tea のうちのどれか」を必ずルール記述に含んだ、ロールプレイングゲームでなければならない、という規則だったのです(その募集はこちらの投稿→http://unrequitedthai.livejournal.com/125405.html)。

『5K』は作者自身も示唆しているように「チャット等オンラインプレイに向いている」こともあり、web上で調べてみるとなかなかに好評で、イタリア語に訳されたPDF冊子も存在しています(ルールだけでなくリプレイ、そして味わい深いイラストも追加され、魅力的です)。
 オンラインでのプレイログを見ると、この種のゲームに慣れた、スキルの高いプレイヤーは場合によってはプレイ中にルールをあえて無視し、より縦横無尽な物語を展開したりもしているようです。舞台を別のものに差し替え、カーンとキョーコの設定を大幅にいじり、これもまた別の人物に変更する等、改造すると、まったく違ったゲームにもできそうですね。
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THE BELIEVERS 【ルール】

ストーリーテリング

 ゲームには本当に様々なものがあるのですが、その中にはお話を語ったり、作ったりすることが基本となっている、普段はあまりゲームに触れることのない人にはちょっと不思議に思われるようなテーマ、仕組みのものもあります。
 一概にこう、とは言い切れないのですが、英語圏のWebサイト等で「ストーリーゲーム(story game)」という呼称を見かけた場合、その対象となっている個々のゲームは、

・参加者のコミュニケーション
・即興劇のような、ちょっとした演技や役割分担
・物語を語り合う、その場で作り出す

 といったことが主眼になっていて、よくあるプレイヤー間の勝敗や、協力しての目的達成/失敗といったことには重きを置いていないタイトルだったりします。
(※もちろん例外もあります。例えばカードゲーム『ワンス・アポン・ア・タイム』はカードを出しながらおとぎ話を語っていくものですが、ルール通りに手札の中の「めでたしめでたし」カードを出して物語を終了させたプレイヤーの勝利、と明確に勝敗が決するようになっています)

 そうしたストーリーゲームの一つの潮流に「ノルウェジャン・スタイル(Norwegian Style)」とか「ロールプレイング(ゲーム)・ポエム」なるジャンルがあります。
 これは、おおよそのところテーブルトークロールプレイングゲーム(TRPG)の派生系なのですが、極めて分量の少ないルールと参加者のイマジネーションでストーリーテリングを楽しむ、というミニゲームの集まりです。
「ノルウェジャン」というのは、この種のゲームを提唱するプロジェクトが、ノルウェーのデザイナー、ゲーマーたちによって盛んに行われているためですね。Norwegian Styleはそのプロジェクトのブログ、そして2008年に出版されたゲーム集のタイトルでもあります。

 ブログ“Norwegian Style”→http://norwegianstyle.wordpress.com/

 もう一方の「ロールプレイング・ポエム」は同時期に、やはり同様のミニマルな方向性のゲームを模索していた英語圏の(あるいはよりインターナショナルな)デザイナーやゲーマーからの、北欧側へのアンサーともいえる存在です。現在ではどちらもほぼ同じ内容を持つ概念とみてよいでしょう。このブログでは、特に問題を感じなければ、国名を名称に伴わない広範な印象のある「ロールプレイング・ポエム」の呼称を主に使いたいと思います。

 では、どんなゲームがそこに含まれるのかというと、いちおうの定義としては、

・1プレイ15分程度から
・事前準備はたいてい不要
・必要なのは紙やペン、ダイスなどちょっとした小道具だけ
・特定のテーマや感情等、限定されたシチュエーションを扱う


 と紹介されています。
 これだけでは何が何やら、ですね。そこで用意した実例が、今回紹介するゲーム『ビリーバーズ(THE BELIEVERS)』です。以下にPDFで貼り付けておきました。
 和訳するにあたり、英語原文はジェイソン・モーニングスター(Jason Morningstar)氏がPDFにリフォーマットし、Story.comのフォーラムで公開したファイルを参照しています。

 Story.comフォーラムのスレッド[The Believers] 15-minute UFO-contactee game→http://www.story-games.com/forums/discussion/7187/x
(※ページ中ほどのジェイソン氏のポストにある「Here's a .pdf」をクリック)


■『ビリーバーズ』ルールシート

The believers訳


 ルールはたった紙一枚。必要な物はメモ用紙と筆記用具くらいでしょうか。

 この『ビリーバーズ』は、先に紹介した「ノルウェジャン・スタイル」の仕掛け人の一人、マティアス・ホルター(Matthijs Holter)氏が開催したゲームデザイン・コンペティション「The Role-playing Poem Challenge」で次点となっています(優勝はジャクソク・テグ氏の『HOUSEBREAKER』)。
 また、作者のクリス・ベネット氏にルールのリフォーマットを申し出ているモーニングスター氏は、『フィアスコ(Fiasco)』という市販ストーリーゲームのヒット作のデザイナーだったりします。このように、インディー系TRPGやストーリーゲームのデザイナー同士は交流が盛んなようです。

 これってゲームなの? と『ビリーバーズ』のルールを見て驚かれる方もいらっしゃることでしょう。
 勝者も敗者もなく、達成すべき目標もありません。プレイヤーはUFOビリーバーに扮し、語り、待ちに待ったUFO到来はいかなる展開と結果を見せたのかを協力して描き出す……その過程を楽しむことがすべてです。
 最終段階で、参加者全員が手を前に差し伸べて、UFOに乗り宇宙人とともに旅立つか、地上に残るかをそれぞれ决定するアクションは、なんとも珍妙な儀式のようでもあります。

 しかし、この広い世界では、これもまた“ゲーム”である――面白いと思いませんか?
 僕はけっこう、こういうのも好きです(笑)。UFOコンタクティー、ビリーバーという題材も好みですしね。
 競技性とはほど遠い、どちらかといえばレクリエーションに分類されそうなものですが、ストーリーを語ることやその楽しみ、プレイヤー間のインタラクションといったことについて考えさせられたりもします。

 今後も、この種で何か面白そうなものがあれば、トランプゲーム等と並んで紹介していきたいと思っています。

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22(Twenty-Two) 【ルール】

伝統トランプ

 きゅうりがブームです

 大丈夫です。久しぶりの更新ですが、僕、正気。

「きゅうりが~」というのは、フリードマン・フリーゼ作のカードゲーム『5本のきゅうり(Fünf Gurken)』が国内でも入手可能となり、にわかにこの新作の原型となったトランプゲームが脚光を浴びている、ということです(※誇大な表現が含まれています)。
 Cucumber(キューカンバー:きゅうり)と呼ばれる、そのトランプゲームは北ヨーロッパを中心に複数の国で遊ばれており、各国語別のゲーム名と微妙に異なるルールで1つのグループを形成しています。Pagat.comの該当ページを見ても、名前違いで様々なバリエーションが紹介されています。

 Pagat.com「Cucumber」のページはこちら→http://www.pagat.com/last/cucumber.html

 上記ページに挙げられている同種ゲームの中では、すでにHAL99さんがデンマークの「Agurk(別名:21)」のルールを翻訳され、日本語ルールを配布なさっています。Pagat.comの記事によると、「Agurk」は1970年代にDIKU(Datalogisk Institut på Københavns Universitet:コペンハーゲン大学コンピュータサイエンス学科)の学生の間で流行した、とあり、伝統ゲームの中では比較的近年に評価が高まったもののようです。
 他のCucumber系統も含め、すでに遊ばれていたのが、1970~80年あたりに学生たちからの再評価を受け、そして2010年代に突入した現在、ゲーム界で“緑の怪人”と呼ばれるデザイナーから、きゅうりの緑がよかったのかピックアップされる……と。その流れがついに日本に届いたわけですね。

 HAL99さんの「Agurk」和訳ルールはこちら→http://www.thegamegallery.net/blog/?p=862

 そして、今回紹介するのはアメリカ版「Agurk」と目される、「22(Twenty-Two)」というゲームです。
 実はこのゲーム、先に翻訳が発表されている「Agurk」とは、遊ばれている国は海を渡って違えどシステムの骨格はほぼ同じです。しかも僕自身がすでに抄訳をTwitter上で紹介済み、そのまとめをこのブログからもリンクしているページに作ってもらっていたりします。
 でも、そこはそれ。このビッグウェーブに乗っておきたいのです(笑)。

 冗談さておき、Cucumberの中でもこの「22」は別途に紹介する価値のあるものだと、個人的には思っています。以下に、そのルールをあらためて記してみましょう。

 Pagat.com「22(Twenty-Two)」のページはこちら→http://www.pagat.com/last/22.html
 ツイートのまとめはこちら→http://togetter.com/li/448874


【ゲームの概要/勝利条件】
「22」はトランプを使用するトリックテイキング、あるいはそれによく似たタイプのゲームで、プレイヤーの目標は「各回最後のトリックを取らないこと」です。最終トリックで勝つと、その時に自分の使ったカードが失点となり、これが22点以上に達したプレイヤーは負けてゲームから脱落します。
 最後まで脱落せずに残ったプレイヤーの勝利です。

【プレイ人数】
 2~6人。7人以上でも可能とされていますが、人数に合わせての調整法は【より多人数でのプレイ】で最後に紹介します。

【使用する道具】
 ジョーカーを抜いた通常のトランプ1組(52枚)

【カードの強さ
 このゲームでは、カードのスート(マーク)は意味を持ちません。手順に影響するのはランク(数値)のみです。カードの強さはランクによって判定され、以下の順になっています。

 〈強い〉A→K→Q→J→10→9→8→7→6→5→4→3→2〈弱い〉

【手札を配る】
 各プレイヤーはテーブルなどの場を囲んで座り、無作為にカードを引いて最も強いランクのカードを引いた人がディーラーとなります。最高位の人が複数いる場合は、その人たちで引き直して判定します。

(※注:ディーラーの决定方法は、じゃんけんでもなんでも、お好きなものでもよいでしょう

 ディーラーはカードをよくシャッフルして時計回りに1枚ずつ、各人の手札が7枚になるように裏向きに配ります。残ったカードは裏向きの山にして、場に置きます。

【手札の交換】
 次に、ディーラーの左隣の人から時計回りの順で、配られた自分の手札を見て、好きな枚数を場に裏向きに捨て、同枚数を山札から引いて交換することができます。これは配られた手札すべてを捨てて交換することもできますし、1枚も交換しなくてもかまいません。
 プレイヤーの人数によっては、交換したいカードの枚数より山札の枚数が途中で少なくなってしまうこともありえます。その場合は、残っている山札より多い枚数を捨てることはできません。もし山札がなくなってしまっていたら、交換は一切できません。

 交換の手順が一巡したら、プレイ開始です。

【プレイの手順】
 このゲームのプレイは、プレイヤーが順にカードを出し、誰が一番強いランクのカードを出したかを判定する「トリック」を、全員の手札がなくなるまで繰り返します。
 1回のトリックは、最初のプレイヤーが1枚以上のカードを出す「リード」、そしてそれに対して他のプレイヤーが順に同枚数のカードを出す「フォロー」で構成されています。

1.リード
 リードはディーラーの左隣の人からです。手札から任意のカードを1枚、もしくは同じランクのカードを2~4枚のセットでまとめて、表向きに場に出します。

・1枚でリード
 手札のうちのどれでも好きなものを出すことができます。

・セットでリード
 同ランクのカードを複数枚セットで出します。例えば手札の中に「8」が3枚あって、それを3枚とも一度に出すことはもちろん、2枚だけを出すことも可能です。あえて1枚だけ、というのもかまいません。
 ただし、セットでリードする時は必ず手札に1枚はカードが残るように出さなくてはなりません。

2.フォロー
 リードされたら、その左隣の人から時計回りの順でフォローしていきます。
 フォローではリードされた枚数と同枚数のカードを、手札から表向きに場に出すことになりますが、これには以下の規則があります。

・リードが1枚の時
 手札から、リードされたものも含めて場に出ているカードの中で、最も強いランクのカードと同じか、それよりも強いカードを1枚出します(場で最高位のカードを出す)。
 これができない、あるいはできてもしたくない場合は、手札の中で最も弱いカードを1枚出します(手札で最低位のカードを出す)。

例1)「10」がリードされ、次のプレイヤーは「K」でフォローしました。その次のプレイヤーの手札は「Q、J、8、8、6、5、2」の7枚です。この手札では「K」以上のカード(「K」か「A」)を出せないので、最低位の「2」を場に出さなくてはなりません。

・リードがセットの時
 リードと同じ枚数を出すことになりますが、これは同ランクのセットでなくてもかまいません。
 ただし、2枚なら2枚、3枚なら3枚、4枚なら4枚すべてのカードそれぞれに対し、すでに場にある最も強いカードと同じか、より強いランクのカードでなければなりません。これができない(したくない)場合は、手札の中から弱いランクの順に必要な枚数を場に出すことになります。

例2)「6、6、6」の3枚がセットでリードされました。次のプレイヤーは3枚のカードすべてが「6」以上の強さでなくてはなりません。そこで「10、9、7」でフォローします。続けて、さらにその次のプレイヤーは「10」を「K」で超え、「9」を「9」で同ランク、「7」を「8」で超えて、フォローすることにします。手札から場に「K、9、8」の3枚を出すことになりました。

例3)先の「K、9、8」が場の最高位カードになった後、続くプレイヤーの手札は「K、K、6、3、3、2、2」でした。「K」を「K」で同ランク、「9」をもう1枚の「K」で超えられますが、この手札ではもう「8」以上のランクのカードが出せません。そこで手札の中から弱い順に「2」「2」「3」の3枚を場に出すことになります。

3.トリックの終了と判定
 リードからフォローで全員が同枚数のカードを出したら、1トリックが終了します。
 場に出されたカードを比較して、最も強いランクのカードを出したプレイヤーが勝ちます。最高位のカードを出した人が複数いる場合は、最後にそのカードを出した人の勝ちです。

 トリックの勝者が决定したら、出されたカードはすべて捨て札として脇にどけておきます。以降、この捨て札はいつでも好きな時に見て、どのカードがすでにこのトリックでプレイされたかを確認することができます。

4.次のトリックへ
 前トリックの勝者がリードして、次のトリックが始まります。
 上記のリードとフォローの手順を繰り返し、全員の手札が残り1枚になったら、最終トリックです。

5.最終トリック
 最終トリックでは、直前に誰が勝ったかにかかわらず、全員が一斉に手札に残った1枚を場に出し公開します。

 場に出たカードを比較して、最も強いカードを出した人がトリックに勝ったことになり、同時にこの回の敗者となります。敗者は最終トリックで出したカードが失点となり、そのカードを自分の前に表向きのまま、他の人にも見えるように置き、スコアを表示します。
 失点は「A」は11点、絵札(K、Q、J)は10点。その他のカードはランクの数値がそのまま失点になります。プレイが継続して敗者になるたびに、その人の前には表向きのカードが並んでいきます。

 最終トリックの判定で、最高位のカードを出した人が複数いる場合は、その全員が敗者です。一人ひとりが自分の出したカードを失点として受け取り、前に置きます。

6.脱落
 その回で敗者の失点の累計が22点以上になっていたら、そのプレイヤーはゲームから脱落します。一度に2人以上のプレイヤーが脱落することもありえます。前に置いたカードはそのままにして、脱落した人はもうゲームには参加しません。

7.次の回へ
 スコア表示のために敗者の前に置かれたもの以外のカードを1つにまとめ、次の回を始めます。

・新たなディーラー
 ディーラーになるのは敗者です。
 もし敗者が複数いた場合は、最初にディーラーを決めた時と同様に、敗者全員で無作為にカードを引き、最も強いランクのカードを引いた人がなります。敗者が脱落していなくなった時は、全員が無作為にカードを引いてディーラーを決めます。

(※注:この敗者が複数、あるいはいない時のディーラー決めもまた、じゃんけんなど好きな方法でもよいでしょう

・新たな回の手札
 ディーラーは脱落した人以外のプレイヤーに手札を配りますが、その際に配る枚数は、各人につき前の回で敗者が受けた失点の数と同じ枚数です。「A」なら手札11枚、絵札なら10枚、その他はカードのランクと同じ枚数です。

・カードが足りない時は
 プレイヤーの人数によっては、次の回を始めるときに配るカードが上記ルール通りにしようとすると足りなくなるかもしれません。
 そのような場合は、全員が同じ枚数になるようにできるだけ多く配り、余りを山札として場に裏向きに置きます。

【ゲームの終了】
 プレイヤーが脱落していって、1人だけが残った状態になるとゲーム終了です。最後まで残ったそのプレイヤーが勝者になります。
 ルール上、一度に複数人が脱落した結果、誰もゲームに残らず終わることもありえます。その時は最後に脱落した人全員を勝者としてもいいし、あるいは失点の累計を比較して、より少ない人を勝者としてもかまいません。

【より多人数でのプレイ】
 このゲームはトランプをもう1組足すことで7人以上でも可能です。
 トランプ1組では6人まで可能、最適人数は4人あたりと思われますので、7、8人でのプレイなら、裏側が同じ色と模様のトランプをもう1組足して104枚にするとよいでしょう。
 トランプを足した場合は、同じランクのカードが増えますので、リードのセット出しが5枚以上も可能になります。


 以上がPagat.com記載の「22」のルールです。
 同種の「Agurk」と大きく違っているのは、カードプレイ前に交換があること、そして複数枚セットのリードとフォローがあることです。そのぶん手順が少し複雑になっているのですが、そこにこのゲーム独自の魅力があります。交換によるやや運試し的な手札チョイスはなかなか面白いですし、複数枚リードは時に予想外の展開を生み出します。
 また、パッと見た感じ4、5人でのプレイが適正かと思えるのですが、Pagatの記事には「2人プレイでもよく動く」と書かれていて、ルールのおかげなのかはよくわからないものの、確かに試してみると2人プレイでも楽しめました。

 この「22」や、他のCucumberの最も目につく弱点は「ゲーム中に脱落者が出る」ことです。テンポが早くて1ゲームの時間も短いので問題ないといえばそうなのですが、やはり脱落した人が「待ち」になるのは気になります。
 その点も、それが最良の人数かはともかく、2人プレイならば気に病まずに済みます。どちらかが脱落したら、その瞬間にゲームは終わりますから。「Agurk」とは別途に紹介する価値あり、と判断した理由には、そんなこともあります。もっとも、他のCucumberや『5本のきゅうり』も、2人プレイに適しているのかもしれませんけれどね。

 デビッド・パーレット著『THE PENGUIN BOOK OF CARD GAMES』のCucumberの項を確認してみると、どうやらこの種のゲームは学生の間で再発見・流行する以前は、ライトなギャンブルゲームだったようです。おそらくカジノや専門ハウスにテーブルが設置されているタイプではなく、パブなどでお酒を飲みつつ、客同士が遊んでいた小博打の類ではないでしょうか。
 そう予想させられるのは英語でCucumberを動詞的に用いた「Cucumbered」が俗語で「めちゃくちゃに酔っ払う」ことを表すからです。このへんに酒場の匂いがします(笑)
 このゲームで失点により脱落することを「Cucumbered」と言うらしく、それがそのままタイトルになっているのですが、パーレット氏が「…sliced(or cucumbered)」と表現しているところを見ると、脱落することを指して「(輪切りにされるように)切り落とされる」と「(酔い)潰れる」を、きゅうりの一言で表したダブルミーニングなのではないか、と想像します。

 最後に『THE PENGUIN BOOK~』にパーレット氏が記載している、ギャンブルとしてのCucumberの概要を列記します。
 このバリエーションは、HAL99さんによる「Agurk」への追加ルールと同様に、上に述べたこの種のゲームの弱点「脱落者が出る」ことへのネガティヴ感を軽減するように思われます。なんと、各人は1ゲームに1回だけ、脱落を回避できるのです!


【ギャンブルきゅうり】
・プレイ可能人数は3~7人と記されている。が、ルールからすると5~7人でプレイするのが基本だと思われる。

・各プレイヤーはゲーム前にあらかじめ決められた、同額のステーク(賭金)をポット(テーブルの上の集金場所、カップやダイストレイ等なんでもいい)に支払う。賭け事ではなく純粋なゲームとしてやるなら、ポーカーチップやおはじきなどで代用。

・基本的なルールは「Agurk」と変わらない。HAL99さんの訳を参照。カードごとの失点はA=14、K=13、Q=12、J=11点で、数字札はランクそのままの数が失点となる。そして脱落は累計スコアが30点以上で起きる。

・脱落が决定したプレイヤーはその場でさらにもう一度ステークをポットに支払うことにより、ゲームに復帰できます。ただし、復帰後のスコアは脱落の直前まで累積していた数から再開です(それまでの累計26失点に「5」のカードで敗者となり、31失点で脱落することになったプレイヤーは、ステークを払うことで脱落を免れ、26失点の状態でゲームを続けられる)。

・上記のステーク再支払いで復帰できるのは、1ゲームに付き各人1回まで。2度目の脱落は回避できない。

・また、残りプレイヤーが3人になると復帰はできなくなる。そしてその3人のうち誰か1人が脱落するとゲーム終了。一番失点の少ない人がポットに入っているステークを総取りする。

 このギャンブリングルールは、脱落点数を21や22点にするなど微調整することで、「Agurk」や「22」にも応用できるのではないでしょうか。うまくすると、各人1回は復帰のチャンスがあるということで、脱落後の「待ち」時間が詰まり、手持ち無沙汰が解消されるかもしれません。
 ちょっと試してみたいですね。
(※『5本のきゅうり』には、ひょっとするとこういったルールが何かあるのかもしれませんが……僕は未所持で詳しいルールを知らないので)

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Necropolis 【ルール】

創作ドミノ

 世界中で広く支持されているドミノゲームは、残念ながら日本国内ではドミノ牌がどこでも売られているわけではないこともあり、その認知度はいささか低いもののようです。
 しかしヨーロッパでは長きに渡って愛好されてきた歴史があり、その文化が伝わった南米ではその国に根ざしたゲームの公式戦が行われるほど人気があります。トランプ同様、ドミノゲームのルールは多岐にわたり、小さなバリエーションも含めれば膨大な数です。遊ばれているルールは伝統的なものが中心ですが、ゲームデザイナーによる近年の新作も発表されていて、そこもトランプと似ていると言えなくもありません。

『Necropolis(ネクロポリス)』はアメリカのアブストラクトゲームデザイナー、レイ・アリセア(Rey Alicea)氏が2013年8月に公開した新作ドミノゲームです。
 作者はゲームシステムの分類を「ドロー(draw)ゲーム」としていますが、その様相は、伝統的なドミノのドローゲームとはずいぶん印象の異なるもので、なかなか面白そうです。氏のブログ記事には「プロトタイプ(Prototype board game)」とラベリングされており、ゲームの完成度はいかほどか、と少々気にはなるものの、ルールを読んでも大きく破綻した部分はなく、手軽に楽しめそうなので紹介してみます。
 アリセア氏のブログ『Ludo Soup Games』の記事を参考にします。

Ludo Soup Gamesの記事はこちら→http://www.ludosoup.com/2013/08/necropolis-domino-game-for-2-players.html


【ゲームの概要/勝利条件】
 プレイヤーは裏向きに積まれたドミノ牌の山(=ネクロポリス)から牌を引き、各人はその引いた牌で自分の前に表向きの列(=墓地)を作っていくことがプレイの基本です。
 引いた牌が列に置けるかどうかにはルールがあります。置くことのできない牌を一時的に手元に持っておくこともできますが、ゲーム終了時にそのように置けずに持っていた牌の目の数だけマイナス点のスコアがつくので、上手に表向き牌の列を作り、持ったままの牌をできるだけ少なくしなくてはなりません
 ゲームはそのマイナス点(失点)が少ないプレイヤーの勝利となります。

【プレイ人数】
 2人

【使用する道具】
 W(ダブル)6ドミノ、1セット。
 ドミノには牌に打たれた目の数の最大値によって種類があり、このゲームで使うのは上下に6個、計12個の目が打たれた牌が最大のW6ドミノを使用します。これの1セットには牌が28枚入っており、それらすべてを用います。

【ゲームの準備】
 テーブルなど場を挟んで対戦者同士が向き合って席についたら、28枚の牌すべてを裏向きによくかき混ぜ、牌の表がわからないように裏向きのまま場の中央に適当に積んだ山にします。
 ゲームでは、この牌の山を〈ネクロポリス(necropolis、死の都)〉と呼びます。

 次にじゃんけんなど任意の方法でプレイの先攻・後攻を決め、先攻のプレイヤーが〈ネクロポリス〉から牌を1枚引き、自分の前に表向きに置きます。続けて後攻のプレイヤーも同様に1枚引いて、表向きに自分の前に置きます。
 プレイヤーそれぞれが自分の前に表向きに置く牌は、この最初の1枚から始まってプレイ中に増えて列となり、その列を〈墓地(grave site)〉と呼びます。
 こうして両者の前に〈墓地〉最初の1枚のある状態になったら、プレイ開始です。

【プレイ】
 先攻プレイヤーから手番になり、以降は先攻・後攻交互に手番が移ります。
 手番のプレイヤーは以下の1~5のどれか1つを選んでプレイします。

1.牌を引いて〈墓地〉に加える
 プレイヤーは〈ネクロポリス〉から牌を1枚引いて、可能なら自分の〈墓地〉の列に表向きで並べ追加します。〈墓地〉に引いた牌が並べられるかどうかは、以下の【〈墓地〉列の規則】の項を参照し、そのルールに従ってください。

2.引いた牌を〈マスタバ〉に加える
 上記1.と同じく〈ネクロポリス〉から牌を引き、その牌を〈墓地〉に並べることができない、あるいは可能ではあるがそうしたくない場合は、表側を対戦相手に見られないように裏向きのまま〈墓地〉のそばに置いておき、何個でも取っておくことができます。
 このように裏向きでキープしておく牌と、その集まりを〈マスタバ(mastabas、古代エジプトにおける貴人の墳墓)〉と呼びます。

3.〈マスタバ〉の牌を〈墓地〉に加える
 手番プレイヤーは自分の〈マスタバ〉にある牌から1枚を選んで〈墓地〉の列に表向きに並べます。
 もちろん〈墓地〉に加えるには【〈墓地〉列の規則】に則っていなくてはなりません。

4.〈墓地〉を作りなおす
 手番プレイヤーは今並んでいる自分の〈墓地〉の牌をすべて裏向きにして捨て、他の牌と混ざらないように場の隅にどかします。
 そして〈ネクロポリス〉から1枚引くか、自分の〈マスタバ〉から1枚を選んで表向きで自分の前に置き、新たな〈墓地〉作りをそこから始めます。

5.〈マスタバ〉と〈ネクロポリス〉の牌を交換する
 自分の〈マスタバ〉から1枚選んで〈ネクロポリス〉に戻し、代わりに別の1枚を〈ネクロポリス〉から引いて、〈マスタバ〉に加えます。

 以上のどれかを1つを実行し終えたら、対戦相手に手番が移ります。

※原文に明記はされていませんでしたが、自分の〈マスタバ〉にある牌の表側を暗記する必要はなく、いつでも確認してかまわないと思われます。

※5.の交換は〈マスタバ〉から戻すのが先か、〈ネクロポリス〉から引くのが先か書かれていませんでした。いちおうここでは上のようなルールにしておきます。


【〈墓地〉列の規則】
 W6ドミノの牌はサイコロ2つを上下にくっつけたように目が表示されています。〈墓地〉には自分から見て縦長に牌を置き、その左右に新たな牌を置いてつなげ、列を作ります。
 列に並べることができるのは、つなげる牌と上下の目数のどちらかが同じ牌でなければなりません。上か下の同じ目が揃うように並べてください。
 新たな牌をつなげるのは列の右端、左端どちらの牌に対してでもかまいません。並べて置く牌の上下は、ここで説明した規則通りになるように置く前に好きに入れ替えられますが、すでに列に置かれた牌の上下は入れ替えられませんし、列の順序を変えることもできません。

g3304.png

※Ludo Soup Gamesの参考図。〈墓地〉は牌4枚の列で、ここに新たに加えられるのは左端には上下のどちらかがブランク(無地、目無し)の牌、あるいは右端に上下のどちらかが1もしくは2の目の牌。

【ゲームの終了】
 場の〈ネクロポリス〉が1枚もなくなるか、どちらのプレイヤーもこれ以上は〈墓地〉に牌を加えることは不可能だと両者がともに認め合意すると、そこでゲームは終了です。

 プレイヤーはそれぞれ、自分の〈マスタバ〉に残った牌の目の数を合計します。
 そしてそれに、自分の〈墓地〉列の最初の1枚の目の数+1をさらに足します(※ここで言う最初の1枚とは、プレイ中に〈墓地〉を作りなおすこともあるので、ゲーム終了時にできている〈墓地〉列の最初の1枚だということに注意)。
 これが各プレイヤーのスコアになります。

 スコア=〈マスタバ〉の目の合計+〈墓地〉の最初の1枚の目+1

 より少ないスコアのプレイヤーの勝利です。


 このゲームはよくあるドミノゲームのように場に長く、あるいは放射状に牌をつなぐことがないので、テーブル面積が厳しい環境でも遊びやすいというメリットがあります。山から牌を引くということで作者はドローゲームと分類したのでしょうが、通常のドローゲームのように最初に配られる手牌はなく、〈墓地〉開始の1枚から各自が別の列を伸ばし、途中で最初からやり直せる等、独特です。

 タイトルとテーマは古代遺跡と墓、打ち捨てられた廃都=ネクロポリスから死者の痕跡(牌)を掘り出しては、丁寧に墓に葬ってやるという、なにやら「おくりびと」のようでもあります(笑)。
 これは作者のこれまでに発表したゲームもまた古代の遺跡や文化を題材にしたものが多く、その中に三途の川の渡守カロンの伝説がテーマのカードゲームも見られるあたり、アリシア氏個人の趣味・興味の現れなのかもしれません。

 作者・アリセア氏は彼個人名義のブログを見ると、アーティストとしてグラフティライクな流れるような線の素敵なスケッチや、コミックヒーローの躍動感あるイラストをアップしています。
 BGG等ではアブストラクトゲームデザイナーとクレジットしている彼ですが、ひょっとすると本業は絵のほうなのかな? と思ったりします。

 レイ・アリセア氏のブログはこちら→http://reyalicea.blogspot.jp/

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1234 【ルール】

伝統トランプ

 タイ王国は長く独立を保ってきた風土のためか、周辺諸国に比べると独自文化が(もちろんそれらの多くに、古代から中国大陸文化等の影響があるにせよ)色濃く残っている気がします。
 ベトナムなどでは西洋チェスの流入に押されてほぼ消滅してしまったと聞く、その国独自の将棋も、タイでは「マックルック(マークルック)」として命脈を保っているそうで、このタイ将棋こそ日本の将棋の源流(の1つ)とみなす研究者もいらっしゃるようです。

 しかし、そんなタイでもマックルックの指し手は減少傾向で、過去に中国から流れてきて定着していた銭牌系の伝統カードゲーム、ギャンブルも、今ではトランプのゲームに取って代わられている、と資料にありました。
 もちろん、それよりなにより、首都バンコクなど都会ではテレビゲームはもちろんのこと、『UNO』もあるし『マジック:ザ・ギャザリング』や『遊戯王』、最新のトレーディングカードゲームも人気ということですから、ことゲームに関しては、日本とあまり変わりがないのかもしれません。 

 では、そんなタイに独特なトランプゲームは何かないだろうか? と思い、例によってpagat.comの国別分類でタイ王国のページを眺めていると、目についたのが『1234』というゲームです。現地の読みだと「ヌン・ソーン・サーム・シィー」でしょうか?
 この『1234』、pagatではページ立てがなく、タイのカードゲーム事情を記した中に、十数行でルールが説明されているだけです。細則は不明、Web検索であたろうにも、まま数字がタイトルなので容易には情報が得られず、ファミリーゲームなのかギャンブルなのか、どこでどのように遊ばれているのかもいっこうにわかりません。

 そこで、情報収集もかねて、ここでわかる範囲のルールに僕自身の推定を加えた上で、とりあえず紹介してみたいと思います。
 原理はとても単純なので、これだけでもプレイは可能なはずです。
 それに、どこかで見たことがあるような、ないような…なかなか興味をそそられるシステムで、これに近いゲームが他にもあるのか、それも知りたいところです。

 pagat.comの「Card games in Thailand」のページはこちら→http://www.pagat.com/national/thailand.html


【ゲームの概要/勝利条件】
 このゲームでは、各プレイヤーは最大5枚の手札を持ち、ルールに従って手番毎に場に出していきます。手札は毎回補充されますが、もしルール通りに手札を出すことができなくなると、ゲームから脱落してしまいます。
 他のプレイヤーが脱落して、最後の1人になったら、そのプレイヤーの勝利です。

【プレイ人数】
 2~5人
(※原文に記述なし。開始時にある程度は山札の枚数があったほうがいいのでは? と推測してこの人数にしてみました)

【使用する道具】
 ジョーカーを抜いた通常のトランプ1組(52枚)

【カードごとのランク】
『1234』では、各カードに描かれたランク(数)が重要です。
 2~10のカードはそのままその数字、Aは1、Jは11、Qは12、Kは13と数えます。

【ゲームの準備】
 全員が場(テーブルなど)を囲むように(2人プレイなら場を挟んで対面に)着席したら、適当な方法でディーラーを決めます。
 ディーラーはトランプ1組を裏向きでよくシャッフルし、全員に5枚ずつ手札を配ります。配り終えたら最後にもう1枚を、スタートカードとして表向きに場に出します。
 残りのカードはそのまま裏向きの山札として場に置き、プレイ開始です。

【ゲームの進行手順】
 一番最初に手番となるのは2人プレイならディーラーではないほう、3人以上ならディーラーの右隣の人です。
 以降、手番は右隣へと反時計回りに移っていきます。2人なら交互に手番が移ります。

 手番のプレイヤーは「プレイ」か「パス」かを選び、手札から何枚かのカードを場に出します(※このゲームのパスは、特殊な組み合わせで数枚のカードを出すことで、順番を飛ばすことではありません)。
 もしプレイもパスも不可能で、場にカードを出せなかったら、そのプレイヤーはドロップアウト(脱落)してゲームから抜け、1ゲーム終了までもう参加できなくなります。ドロップアウトしたプレイヤーの手番は飛ばされ、ゲームは続きます。

1.プレイ
 このゲームで基本となるカードの出し方です。
 まず最初に、手番プレイヤーがプレイする時は、手札から出すカードのランクの合計値が、スタートカード(場に表向きに置かれた1枚)のランクより1~4大きくなければなりません。
 同数値以下や、5以上大きくなるようなカード、または複数のカードの組み合わせは不可です。

 いったん誰かがプレイした以降は「最後にプレイされた数より1~4大きなランクのカード、もしくは合計値がそのようになる複数のカード」をプレイすることになります。つまり手番が次から次へと移るうちに、だんだんとプレイ可能な数値は上がっていくのです。

例)スタートカードは10。これにQ(12)のカードをプレイすると、次にプレイしようとするプレイヤーは13~16の数値を手札から出す必要があります。そこで3と6と5の3枚を出すと合計は14なので、この組み合わせはOKです。さらに続くプレイでは15~18の合計値を持つカードの組み合わせが必要になります。

2.パス
 スタートカードのランクや、直前のプレイで提示された数にかかわらず、以下の組み合わせのカードであれば、出すことができます。

・Aのカード1枚
・同ランクの数字札(A~10)2枚に絵札(J、Q、K)を1枚合わせた計3枚
・3枚の同スート()札(※数字札と絵札、どちらでも、混在してもOK)
・3枚の同ランク札(※数字札と絵札、どちらもOK)
・同ランクの数字札(A~10)2枚を2つで計4枚(※3と3に5と5等。絵札は不可)


 手番でパスした場合、プレイに必要な数値に変更はなく、そのまま次のプレイヤーに手番が移ります。

3.ドロップアウト
 手番にプレイもパスもできない時は、手札をすべて裏向きに自分の前に置き、ドロップアウト(脱落)します。
 この状態になったプレイヤーは負けで、以降は終了まで手番は飛ばされ、回ってくることはありません。

4.手札の補充
 プレイ、もしくはパスでカードを場に出した手番プレイヤーは、最後に山札から3枚引いて手札を補充します。
 ただし、手札の上限は5枚ですので、3枚引くとそれを超えるようなら、それを超えないように1枚、もしくは2枚引いて手札を5枚にします。

5.手番の移動
 手番プレイヤーがプレイかパスして手札を補充、もしくはドロップアウトしたら、次のプレイヤーに手番が移ります。

【ゲームの終了】
 ゲームが終わるのは以下のどちらかの時です。

1.一人残してドロップアウト
 各プレイヤーがドロップアウトしていき、最後の一人になったらそこで終了です。最後まで残ったこのプレイヤーが勝者になります。

2.山札がなくなった
 手札の補充で山札がなくなったら、そこで即座に終了します。
 ドロップアウトしていない、残っているプレイヤーの中で、最も大きなランクのカードを持っているプレイヤーが勝者になります。
(※同点首位が複数いる場合は、手札の中で二番目に大きなカード、それでも同点がいるなら三番目…と比べて決めるとよいでしょう)

【ゲームの継続と得点計算】
 ルールの原文には「次にゲームを始める時は前回の勝者がディーラーになる」と明記されています。しかし、そのように繰り返しゲームをする時に用いられる、累計スコアの付け方や、得点のやりとりについては一切触れられていません。
 そこで、以下に想定される得点の付け方を提案しておきます。

1.勝者にプラス点
 勝者以外のプレイヤーは終了時の手札(ドロップアウトしていたら前に伏せていたもの)のランクを合計します。
 勝者はそのすべての合計を自分の得点とします。

 最初に決めていた回数のゲームを繰り返して、最も高い得点の人が最終的な勝者、あるいは目標点をあらかじめ決めておき、一番最初に累計得点が目標に達した人が勝者になります。


2.敗者にマイナス点
 勝者以外の各プレイヤーが手札のランクを合計するのは上と同じです。
 そしてその合計値を各プレイヤーの失点としてメモします。

 こちらもあらかじめ何回ゲームするかを決めておき、もっとも累計で失点の少ない人を勝者とするか、誰かが基準の累計失点に達した時に、やはりもっとも失点の少ない人を勝者とするかにすればよいでしょう。

3.持ち点をやりとりする
 あらかじめチップやおはじきなどで、全員が同点数を持ってゲームを開始します。
 1ゲームごとに、敗者は勝者に終了時の手札のランクの合計値を勝者に対して持ち点から出して支払います。

 この場合は誰かが破産した(持ち点がなくなった)時点で終わりにしてもいいですし、上の2つと同様に先にゲーム回数を決めておいてもよいでしょう。いずれにしても、終わった時にもっとも持ち点の多い人が勝者です。


 実際にプレイしないことには確定できませんが、この『1234』は単純ながら面白いゲームな感じがします。
 想像するに、これはテンポの早いギャンブルゲームではないでしょうか?
 それが正解だとすると、何ゲームも繰り返す場合の得点計算は「3.持ち点をやりとりする」で提案したようなやり方ではないかと思われます。敗者が失点分を勝者に支払うかたちですね。

 とはいえ、それはあくまで僕の勘に過ぎませんから、実は家族や子供同士で遊ぶファミリーゲームだったりするのかもしれません(笑)。
 もしこのタイのトランプゲームについて情報をお持ちの方がおられましたら、ぜひご教授いただけると幸いです。

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